2023年6月16日に、LGBT法(正式名称:LGBT理解増進法)が国会で成立しました!
※成立までの経過や論点、「こんなケースはあり得るの?」といった想定Q&Aは、当ブログの以下記事をご参照くださいね。
当記事では、条文を引用しつつ、LGBT法の内容をわかりやすく解説していきます!
目次
LGBT法(LGBT理解増進法)の内容をわかりやすく解説!
その①:実際の条文について
条文全文が掲載されているサイト(衆議院ホームページ)はこちら(↓)です!
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g19001057.htm
※条文中の「性同一性」という表現は、修正案で「ジェンダーアイデンティティ」となりました。が、条文自体は修正されず、修正案が別のページにおいてあるだけなので、ややこしいですよね💦
※以下、実際のLGBT法条文については、すべて上記の衆議院ホームページから引用しています。
その②:LGBT法の目的とは
第一条 この法律は(中略)、性的指向及び性同一性の多様性を受け入れる精神を涵(かん)養し、もって性的指向及び性同一性の多様性に寛容な社会の実現に資することを目的とする。
その③:LGBT法の基本理念とは
第三条 全ての国民が、その性的指向又は性同一性にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、性的指向及び性同一性を理由とする不当な差別はあってはならないものであるとの認識の下に、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを旨として行われなければならない。
ただ、以下記事でも取り上げた通り、「不当な差別はあってはならない」という記載は具体的な義務を課すものではないので、悪用される心配は基本的にないと考えてよいとされています。
その④:LGBT法が課す、国や自治体および企業・学校への「努力義務」
LGBT法の、国や自治体および企業・学校への「努力義務」をまとめたものが下の表です!
法律が記載する対象者 | 左記対象者の努力義務 |
国、政府 | ・国民がLGBT理解増進をするための施策策定・実施
・年1回その施策の実施状況の公表 ・基本計画の策定、研究推進、知識の普及等(10条) ・省庁等の理解増進連絡会議を設ける |
地方公共団体 | ・国と連携し、LGBT理解増進の施策策定・実施
・知識の普及等 |
事業主(企業など)および学校 | ・労働者や生徒、学生の理解増進に関して、環境整備や相談機会を確保
・国や地方公共団体の施策に協力 ・相談体制の整備等の必要な措置 |
努力義務とは?
努力義務とは、その名の通り「努力」つまり任意のものです。
違反しても刑事罰等のペナルティはありません。
この努力義務を実行するかどうかは当事者の任意の協力にゆだねられています。
その⑤:LGBT法は「国民への努力義務」も記載あり
では、国民への義務や努力義務はあるのでしょうか?
国民は、第一条に規定する社会を実現する上で性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等が重要であることに鑑み、性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に寄与するよう努めなければならない。
ということで、「差別解消の推進に寄与するよう、努めなければならない」と、国民にも努力義務があります
※努力義務は上記のとおり、その名の通り「努力」つまり任意のもののため、違反しても刑事罰等のペナルティはありません。
過去の法案が、差別禁止の表現を盛り込んでいたこともあり、
SNSなどで懸念を表明する人も多いですが、そもそも条文自体が努力義務に落ち着いた状況ですね。
とはいえ、今後、法案について適切な運用がなされるよう、皆で注目していかないといけませんね。
LGBT法(LGBT理解増進法)が成立すると・・・こんな事態になる?【想定Q&A】
こちらに記載している想定Q&Aは、以下の記事でも取り上げましたが、改めて再掲します!
疑問その1:銭湯のケース
「私は見た目は普通の男性だが、心は女性だ」という人が、「女湯に入りたい」と言ってきた!銭湯は「不当な差別はあってはならない」という法律の文言をもとにとして拒否できなくなる?
⇒LGBT法が成立しても、これまで通り拒否することができます
疑問その2:女子トイレのケース
この法律を悪用しよう!と悪意を持った男性が、「自分はトランスジェンダーだから、この女子トイレに入れるんだ!」と、侵入してくるケースも、「不当な差別はあってはならない」という法律の文言をもとにとして拒否できなくなる?
⇒LGBT法が成立しても、これまで通り拒否することができます
まとめ~LGBT法の今後
2023年6月16日に、LGBT理解増進法は成立しました。
上記の通り、すべて適切な理解をすすめていこうという努力義務のみの法案なので
色々なことが悪く変わってしまう!と恐れる必要はない法といえます。
ただ今後、国の運用や、条文を良く知らない学校や企業の運用のされかたによって「想定と違った」となってしまう可能性はゼロではないため
今後も国や自治体の動向を注目していく必要があると言えます!